『あがり症』対策として、一時的ではあるけど即効性がある治療法、それが薬物療法です。
薬物療法の代表的存在に抗不安薬があります。
この抗不安薬という言葉は精神科が身近な存在になるにつれ、認知度が高まってきているようですが、一体どうやってこれらの薬は心の安定をもたらすのでしょうか。
『あがり症』の症状をもたらす「心」の存在しているところは脳です。まずはその脳の構造からお話しなければいけません。
脳の働きは約150億の神経細胞によって成り立っています。神経細胞は情報を電気信号に変換して、神経線維に送ります。この伝わった電気信号が神経線維末端で隣の神経細胞に伝達されることにより、情報は脳の必要な場所に伝えられていくのです。
神経細胞間あるいは筋繊維、もしくは神経細胞と他種細胞間に形成される、シグナル伝達などに関わる接合部位のことをシナプスといい、このシナプスで伝達に介在する物質のことを「神経伝達物質」と呼びます。
体には多くの神経伝達物質、アセチルコチン・ノルアドレナリン・ドミパン・セロトニンなどがあり、薬物治療で用いられる薬の多くはこの神経伝達物質に作用します。
例えば、ベンゾジアゼピン系抗不安薬は脳のγアミノ酪酸を増やす事で、ノルアドレナリンやセロトニン、ドミパン、グルタミン酸神経系の活動を抑えます。これらの神経伝達物質には不安を増強させる作用がありますので、活動を抑えれば不安も軽減するというわけです。
一時期この手の薬の乱用が話題になったこともあって、薬物療法はなんだか怖いという人もいるかもしれません。しかし、現在『あがり症』で悩む人のために精神科で処方されている薬のほとんどが、長期間使用しても大丈夫な安全な薬であるといいます。勝手に薬を増やしてしまうことや、薬自体に精神的に依存してしまうことは問題ですが、基本的に医師とのコミュニケーションさえしっかりとれていれば、心配はないでしょう。
薬物療法はあくまで『あがり症』克服のサポート役。精神安定薬の副作用を怖がって、薬物療法を拒否しているにもかかわらず、『あがり症』の症状に悩んでアルコールの多量摂取がやめられないという人もいるようです。薬物療法への正しい知識を持つことが大切ですね。
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